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スーパーEDレンズ搭載マーチライフルスコープの陽炎防止機能について



ここ数年、マーチライフスコープのメーカーであるDEONには、スーパーEDレンズを使用したマーチX 10-60X56 HM(ハイマスタースコープ)が、"蜃気楼 "が激しい時期に他のライフルスコープに比べて高倍率を維持できるらしい、という報告が海外から多数届いています。 デニス・ボーシュマン氏(米国バイユー・ライフルズのウィンドコーチ)は、10-60X56 HMをいち早く採用し、蜃気楼が大きな問題となる長距離Fクラスで使用しており、その効果をずっと私たちに訴え続け、DEONに最初に報告したマーチオーナーです。デニス氏や他のマーチオーナーの報告によると、「蜃気楼」によってIQ(画質 Image Quality)は低下しているものの、非常に使いやすい状態を維持しているとのことです。 他社のライフルスコープを使う射手が「蜃気楼」に対応するために倍率を下げている中、マーチオーナーは蜃気楼が起こる前と同じレベルの倍率で狙った場所に正確に固定することができたのです。 もちろん、他社製ライフルスコープの所有者はその品質にとても満足していましたが、同時にスーパーEDレンズ搭載マーチライフルスコープに対して「どうしてそんなことが可能なのか?」と疑問に思っておりました。 私たちDEONでは、その答えを持っていませんでしたし、そんなことがあり得るということさえ知りませんでした。
しかし、DEONのトップレンズデザイナーである西窪氏(紹介記事:http://deon.co.jp/column-5.html)が、EDレンズを装着した様々なマーチスコープとスーパーED(ハイマスター)レンズを装着したマーチスコープを「蜃気楼」の激しい環境下で比較したところ、EDレンズとスーパーEDレンズのライフルスコープには確かにIQ(画質)の違いがあることがわかり、特定のモデルではその影響がより明確になることに驚かされました。

DEON Optical Design Corporationは16年前に、ライフルスコープにおける新しい革新的なデザインとコンセプトを射撃界に提供することを目的に設立されました。 設立2年以内に、DEONはライフルスコープの重量や設計の複雑さを増すことなく、ライフルスコープの色収差(CA)を低減または抑制するEDレンズをライフルスコープに組み込んだ最初のライフルスコープデザイナーとなりました。 現在生産されている対物レンズ径が24mmを超えるDEON社のライフルスコープには、すべてEDレンズもしくはスーパーEDレンズが設計に組み込まれています。 DEONはライフルスコープ用EDレンズのパイオニアであり、5年ほど前に再び技術革新を行い、色収差をさらに抑制するために一部の高倍率ライフルスコープ設計にスーパーEDレンズを使用するようになりました。

以下は、報告された観測結果を説明するのに役立つと思われる、我々の現在の仮説です。 この仮説は、より多くの情報が入手可能になれば、変更、拡張、または完全に否定される可能性があります。

人間の目は、380nm(ナノメートル)から780nmの波長域の光を見ています。 地上望遠鏡は、可視光線のすべての波長を焦点面上の同じ位置に集めることができれば、優れたIQを得ることができる。 しかし、現在のレンズ素材は、波長ごとに屈折率が異なるため、波長ごとに焦点位置が異なる結果となり、色収差が発生してしまうのです。ライフルスコープの中には、この収差を最小限に抑えようと、さまざまな種類の光学レンズを使用しているものがあります
EDレンズとは? EDとは、Extra-low Dispersion(超低分散)の略です。レンズで光を屈折させると、可視光線のスペクトルを構成する様々な波長が、焦点面上の全く同じ位置に集まらないことがあります。 このため、カラーフリンジや色収差(CA)と呼ばれる現象が発生します。 この分散によって、さまざまな色の間の収縮が少しずつ小さくなるため、画質(IQ)が低下するのです。屈折した光の波長分散を小さくし、こうした収差を改善するためするために新しいレンズの開発が期待されていました。

初めてのEDレンズは、1960年代後半に開発されたとされています。2006年にDEONはライフルスコープ業界の中で初めて、EDレンズをベンチレスト用40x52ライフルスコープに組み込みました。(40x52の生産は中止され、48x52にモデルが変更されました。) 現在では他社のハイエンドスコープメーカーもそれに追従しています。
EDレンズの開発後、日本のメーカーでも開発競争が行われ、人工蛍石や、蛍石に近いスーパーEDレンズが各社で開発されました。スーパーEDレンズはEDレンズより色収差をさらに改善する力があり、2017年にDEONはライフルスコープ業界の中で初めて、マーチスコープの対物レンズにスーパーEDレンズを2枚採用しました。対物レンズの2つの大きなレンズです。(以前の英文記事https://marchscopes.com/news/10054/ をご参照ください。)

スーパーEDレンズを使用したライフルスコープが、EDレンズよりも蜃気楼に強く、通常の光学レンズよりも劇的に優れていると言われるのは、この品質によるものでしょう。
EDレンズは、光の焦点位置を維持し、スーパーEDレンズはさらにその機能を向上させています。この「陽炎対策」により、ライフルスコープの倍率を高く保つことができるため、より良い照準点を射手に提供することができます。

さらに、スーパーEDレンズを使用したライフルスコープの中には、他の設計よりも優れた陽炎防止機能を持つものがあることを発見し、March-X 10-60X56 HMはその1つで、他にはMarch 48X52 HMとMarch 40-60X52 EPZoomがあります。

この陽炎防止機能は私たちが期待していたものではありませんが、偶然の産物であり、私たちの大事なお客様がライフルスコープでこのような付加価値を得られることをとても嬉しく思っています。 この効果を報告し、調査するように促してくれたお客様に感謝します。 私たちは今陽炎対策が大事であることを知り、今後の設計で留意していくつもりです






     編集:森田真理